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ショート・カット(3)

2020/05/04
 ここ数年に自分の身に起こったこと。それは知らない人が聞いたら特にそれほど驚くほどのことではないのかもしれない。でもそれは私の内面と世界観と、そして外見までも、すっかり変えてしまうような出来事だった。


過去の記事は↓こちら
ショート・カット(1)
ショート・カット(1)



  2008年秋。原因不明の脱毛症に混乱したまま、私は夫と共に彼の実家であるアメリカはメリーランド州に向けて日本を後にした。

  背中までの髪は1/3ほど抜けてしまっていたが、バンダナで頭をおおい、その上から野球キャップでもかぶってしまえば、外見にそれほど違和感もない。いつもの帰省時のような高揚感、は当然ない。それでも久しぶりに夫の家族や友人に会えるのは嬉しいものだ。成田から途中で乗り継ぎ、20時間以上の長旅も二人に取っては慣れたものである。
  ボルティモアの空港に着くと、いつものように義父が迎えてくれた。彼には既に事情を話してある。義父の運転で夫の実家までの道のりも懐かしかった。車中ではお互いの近況を報告し合ったりしたが、特に私の話題には触れず、楽しい話だけをしてくれる義父の気遣いもありがたかった。それでも到着したとたん、どっと疲れが出たのか、リビングに腰を落ち着けるが早いかそのままソファーに横になってしまった。

  どのくらい眠っていたのかは覚えていない。せいぜい1時間位だろう。汗だくになって起きた。心配顔の夫と両親に、努めて軽く「時差ボケだねえ。シャワー浴びてくるわ」と言い、バスルームへ。
髪が抜け始めて以来、シャワーの度にとても緊張するようになってしまっていたが、この時は、ぼーっとした頭で何も考えずに髪を洗い始めた。

と、

あれ?

何かがおかしい。

髪がキシンでとにかく洗いにくいのだ。なんでかなあ???と思いながら泡を流そうと湯を浴びた。何だろう?髪が異常に絡んで指がまったく動かない。

急いでバスタブから出て、鏡の中の自分の姿に凍りついた。

長い髪が絡まり合って、頭の上でカモジのような状態になっていた。
必死で「パニクってはいけない」と自分に言い聞かせ、絡んだ髪をほぐそうとするのだが、まったくダメ。無理に引っ張るのが怖くて、そっとほぐそうとするのだが、ひっかかってうまく行かない。
そのうち身体ががたがたと震え始めた。

身体が冷えたためだけではない。とにかく身体を乾かして服を着け、大声で夫を呼ぶ。声を聞きつけ、何事かとバスルームに入って来るなり彼も言葉を失ってしまった。

一体全体、なにがどうなっているのか。混乱しながらも、スプレータイプのヘアートリートメントを大量にカモジ状になった髪に吹き付け、何とかほぐそうとするが、全く効果なし。髪の塊が頭皮近くで団子のように丸まってしまい、これが3個ほど頭に張り付いているような状態である。これは笑い事ではない。これはもう、どうにもならない。

既に夕刻ではあったが、大判スカーフで頭をくるみ、車を飛ばして近隣の(それでも20分かかった)アジア系スタッフの多い美容院に連れて行ってもらった。数人のスタッフに事情を説明し、スカーフを取る。居合わせた女性客やスタッフなど、全員の視線が私の頭に集中した。しかし、こうなったらこちらも恥も外聞もない。せり上がってくる涙を堪え、とにかく何とかしてほしいと懇願した。
美容師3人がかりが「Oh, my God」を繰り返しながら格闘1時間以上。しかし状況は変わらない。シャンプーやらトリートメント剤やらを総動員して更に半時間ほど。しかし何を使っても、何をしてもダメ。

観念した。頭の中はパニックだが、泣いても笑っても、もう、どうにもならないらしい。
大きく深呼吸をしてから言った(私としては努めて平静に言ったつもりだが、後で夫に聞いたところ、殆ど叫んでいたらしい)。

「切って下さい。バッサリ」

後ろに立つ夫の、鏡に映った顔が歪む。どうしようもなかった。

To be continued, hopefully.

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14:08 ショート・カットの理由
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